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「シリコンバレーから生まれた最高の文書」と絶賛されたNetflixのカルチャーガイド全文 | Mooore

「シリコンバレーから生まれた最高の文書」と絶賛されたNetflixのカルチャーガイド全文

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私たちの哲学の核心部分は、プロセスの上位に人を位置付けていることです。より具体的に言うと、私たちの組織にはドリームチームとして共に働く素晴らしい人々がいます。このアプローチをとることで、より柔軟で、楽しく、刺激的で、創造性に富む、そして成功を収める組織になっています。

 

本物の価値観
多くの企業が価値観宣言を行っていますが、大抵、それらの文字に起こされた価値観は漠然としていて無視されています。企業の本物の価値観は、報いを受けた人又は解雇された人によって示されるものです。以下は、私たちの本物の価値観であり、私たちは具体的な行動とスキルに最も重点を置いています。以下の内容があなた自身、又はあなたが共に働きたい人々の特徴として当てはまる程、あなたが Netflix で成功する可能性が高まることになります。

 

判断力
曖昧さの中でも賢明な決定を行う
根本原因を特定し、表面上の処理を越えた対処をする
戦略的に考え、やろうとしていることとそうでないことを理路整然と話すことができる
自分の洞察を人に伝えるうえで、データを用いるのが得意である
目先ではなく、長期的視点に基づいて意思決定を行う
コミュニケーション
会話と文書において、簡潔明瞭に表現する
しっかりと話しに耳を傾け、反応する前に理解するように努める
できる限り明確な考えを導くために、精神的に疲れる状況でも冷静な態度を維持する
自分の母国語を理解できるとは限らない全世界から集まった人々と上手く仕事をするために、コミュニケーションのスタイルを適応させる
同僚に、率直で適時なフィードバックを提供する

 

好奇心
迅速かつ熱心に学ぶ
専門分野外であっても効果的に貢献する
他の人たちが見逃した関連性を理解する
世界中に散らばる私たちのメンバーを理解し、彼らをどのように楽しませればよいかを理解するように努める
別の視点を探し求める

 

勇気
Netflix にとって最善である場合には、たとえ気まずくても、自分の考えを発言する
現状に批判的になることを厭わない
苦痛なく厳しい決定を行う
賢明にリスクを取り、起こり得る失敗を受け入れる
Netflix の価値観と食い違った行動には疑問を持つ
真実を探し求めて、敏感になることができる
情熱
卓越性への強い欲望を持ち、他のメンバーに刺激を与える
私たちのメンバーの成功と Netflix の成功に強い関心がある
粘り強く楽観的である
自信は内に秘めておき謙虚な姿勢を表に出す

 

無私無欲
自分自身又は自分のグループにとってのベストというのではなく、Netflix にとってのベストとなるように努力をする
最善のアイディアを探し求めて、偏見を持たないようにする
同僚の手助けをするために時間を作る
率直かつ積極的に情報を共有する

イノベーション
役に立つ新しいアイディアを生み出す
難しい問題に対する解決策を見つけるために、論点を再概念化する
現状優勢な前提の正当性に疑問を抱き、より良いアプローチを提案する
複雑さを最小限にし、単純化の時間を見つけることで素早く動ける状態を維持する
変化よって成長する

一体性
異なる経歴・文化を持つ人々と効果的に共同して働く
より良い決定をするために、異なる視点を育み受け入れる
人を判断する上で、自分自身との類似性ではなく、才能と Netflix の価値観を重視する
影響を与えないかのように装うのではなく、異なる背景が仕事をする上でどのように影響するのかに興味を持つ
誰にでも先入観がある事を認識し、それらを乗り越えて成長することに努める
仮に誰かがのけ者にされていた場合、仲裁する

誠実
率直で、信頼でき、透明性が高く、非政治的な人物として知られている
職場の同僚について何かを言う時は、必ずその人に面と向かって言う
正直かつ率直に間違いを認める
地位や自分と意見が一致しないこととは無関係に、敬意を払って人々を扱う

影響力
驚くべき量の重要な仕事を遂行する
高い業績を一貫して残しているので、同僚が頼ることができる
同僚をより良い方向に導く
プロセスよりも結果に重点を置く
立派な価値観を書き記すことは簡単ですが、それらを実践するのは難しいことです。勇気の説明で「Netflix の価値観と食い違った行動には疑問を持つ」と言いました。私たちは従業員全員がお互いにこの価値観を実践できるように助け合って欲しい、そして、お互いが他の手本となる人物である責任を持って欲しいと思っています。これは途切れることの無い、意欲的なプロセスです。

誠実の説明で「職場の同僚について何かを言う時は、必ずその人に面と向かって言う」と言いました。この属性は新人にとって信じること、そして学び、練習するのが最も難しいものの一つです。ほとんどの状況では、社会であれ仕事であれ、人について本当に思っていることを一貫して言う人は孤立し追い出されてしまいます。私たちは、従業員がお互いに専門的で建設的なフィードバックを与え合えるように熱心に取り組んでいます。このフィードバックは、ボトムアップ方向、トップダウン方向、組織横断的なものであり、継続的な取り組みとして行われています。従業員は頻繁に他の従業員に尋ねます。「私は何を上手くこなせたでしょうか?」また、自分自身にも問いかけます。「どのフィードバックをまだ共有していないだろうか?」

精神的に疲れることなく通常の仕事の一部としてフィードバックのやりとりができれば、より早く学べ、より成長できると私たちは信じています。臨時的に行われる公式のトレーニングに対して、フィードバックは継続的に行われるコミュニケーションを取り共に働くということの一部分です。たとえ伝えることが気まずい場合でも、同僚にフィードバックを提供する際に無私無欲を実践することで信用を築きあげます。フィードバックは誤解が解消されないままになることを防ぐのに役立ち、また、規則が必要になることを避けるのに役立ちます。根底に強固な関係がありお互いを信頼している場合には、フィードバックをより気軽に交換することができます。これは私たちが、そのような専門的な関係性を構築するために時間を割いている理由の一つです。私たちは、非常に率直な人、特により権力のある人に対して率直であることのできる人を称賛します。このレベルの率直さやフィードバックは、新規採用者や直接的なフィードバックが一般的でない地域の人にとっては難しいものであることは理解しています。私たちは、Netflix でこれをどのように実践するかを学ぶ手助けを積極的に行っています。これは、コーチングを通して、また、全雇用者に身につけてもらいたい行動のモデリングを通して行われます。

 

ドリームチーム
ドリームチームとは、全ての同僚が類まれなる能力を持っており、非常に効果的な協力者であるようなチームのことを指します。ドリームチームに所属することの価値と満足感は計り知れないものがあります。素晴らしい仕事場とはどういうものかについての私たちの見解は、昼食でスシを食べることができ、広いジムがあり、豪華なオフィスを備え、又は頻繁にパーティーが開かれることではありません。私たちの定義での素晴らしい仕事場とは、野心的な共通の目的を追求するドリームチームがあることです。そのチームには惜しみなく時間を費やすことができます。そのようなチームに所属すると、最も多くを学習でき、最高の仕事をし、最も早く成長でき、そして最も楽しい時間を過ごすことになるでしょう。

会社全体がドリームチームであるようにすること(ほんの少しの小さなグループではなく)はチャレンジングな取り組みです。疑いなく、雇用を上手く行わなければなりません。また、協調性を育み、情報の共有を支援し、そして権力闘争が起きないようにしなければなりません。私たちに独特な部分は、まずまずの能力である業務遂行者には手厚い解雇手当を与える点です。そうすることで、その地位におけるスターを見つけることが可能になります。プロサッカーチームを考えてみると、それぞれのプレイヤーが各自のポジションで素晴らしい働きをし、他のチームメイトと非常に効果的な連動を見せることを確実にするのはコーチ次第です。私たちは、私たち自身を家族ではなく、チームとして捉えています。兄弟の普通でない行動があったとしても、家族は無条件の愛を支持します。ドリームチームではできる限り最高のチームメイトになろうと努力することが目的です。チームメイトを非常に重要視し、永遠にチームにいるとは限らないことを認識します。

「毎年、下から10%を解雇する」のようなベル曲線、ランキング、ノルマは私たちには存在しません。そのようなものは、協調性を育む上で弊害をもたらすものです。また、私たちが決して支持することのない過度に単純化された、規則に基づくアプローチです。私たちは、マネージャーの判断に重きを置きます。その判断は、部下一人一人に対して行われる「キーパーテスト」を通じて行われます。仮に、チームのあるメンバーが他の会社に移ることを考えていたとします。マネージャーは彼が他の会社に移らないように一生懸命説得するでしょうか?キーパーテストをパスしなかった人員(言い換えると、マネージャーが引き留めようと懸命に努力しない人員)は速やかかつ敬意を表して手厚い解雇手当が与えられます。そして、私たちはより良いドリームチームとなるようなそのポジションの代役を探します。私たちのチームから外されることは非常に嘆かわしい事ですが、それは恥ではありません。ドリームチームの一員であることは、職業上の生涯におけるスリルになり得るのです。

ドリームチームの方針として、マネージャーがチームメンバーの各々と、彼らの現状について頻繁にコミュニケーションをとることが非常に重要です。そうすると、予期できないことはめったになくなります。また、全従業員がいつでもマネージャーに「私が会社を去ることを考えているとしたら、どれ位一生懸命説得しますか?」と尋ねて確認することも問題ありません。正直さと思いやりとの間でせめぎあいがある時には、私たちは正直さに軍配を上げます。どんなに正直であろうとも、私たちは敬意を持って扱います。

ドリームチームに焦点を当てた時、チームメンバーは間違いを犯すのを恐れるのではと考える人もいるかもしれません。実際のところは、正反対です。私たちは向上を追求するプロセスであらゆる物事を試し、たくさんの間違いを犯します。キーパーテストは、ある人物の総合的に期待される貢献を判断するものとして実施されます。

ドリームチームでは、協調と信頼が非常に上手く機能します。なぜなら、あなたの同僚は仕事自体に関して、また他人と共に仕事をすることに関して群を抜いたスキルを持っているからです。無私無欲の説明で「同僚の手助けをするために時間を作る。率直かつ積極的に情報を共有する。」と言いました。新たな同僚が歓迎されていると感じ、効果的な仕事をするために必要な全ての支援を受けられることを私たちは望んでいます。

人々は忠誠を好み、それは安定剤としての素晴らしさがあります。Netflix での優れた業績を持つ従業員は、仮に一時的な業績不振に陥ったとしてもゆとりを持つことができます。同様に、短期間の業績不振の際には、私たちはその従業員が Netflix に留まるよう求めます。しかし、停滞気味の会社に対する、又はまずまずの業績にすぎない従業員に対する無条件の忠誠は、私たちが目的としているものではありません。

ドリームチームには、「才能あふれる嫌な奴」はいません。チームワークのコストは非常に高いのです。私たちの見解では、才能あふれる人は適切な人間関係を築くことができると考えており、それを強く求めています。非常に有能な人々が協力して共に働いた時、より創造的に、より生産的に、そして究極的にはチームとしてより成功を収めるようお互いに刺激を与えあいます。これは、単なる個人の集合としてではなし得なかったことです。

ドリームチームで成功するには、勤勉に働くことではなく、効果的であることが求められます。努力が「A」であるにもかかわらず、業績「B」が長期間続いた場合、丁重に解雇手当を受け取ることになります。努力の程度があまり多くないとしても、業績「A」が長期間続いた場合は、報われることになります。もちろん、素晴らしい業績を残すためには、ほとんどの人がかなりの努力をしなければなりません。ですが、勤勉に働くことが貢献の尺度ではないということです。

ドリームチームに属することが、誰にとっても正しいという訳ではなく、それは問題ありません。多くの人々は雇用の安定に非常に重きを置いています。そのような人々は、より安定し、年功序列型であり、従業員の能力が一貫して高いわけではない会社で働くことを選ぶでしょう。私たちのモデルは、同僚の中で一貫した卓越性を発揮することに重きを置く人々に最も適しています。

素晴らしい同僚を惹きつけて雇用するために、私たちは従業員に各々の市場価値の最大限を支払います。私たちは、従業員の各々が同業他社で受け取るであろう賃金の最高額に関する誠実な見積もりを行い、そして、その最高額を支払います。通常、年に一度市場価値への調整を行います。私たちはそれらを「昇給」とは考えておらず、分割するための昇給テーブルはありません。能力の市場価値は、それ自体が固有のものであるはずです。私たちは、「まずまずの評価に対しては2%アップ、優秀の評価に対しては4%アップ」のようなモデルは採用していません。ある従業員の市場価値が急激に上昇することもあります(残した業績とその分野の人材不足の両方を原因として)。一方、ある従業員の市場価値は素晴らしい仕事をしたにもかかわらず対前年比で横ばいであるかもしれません。私たちは常に、全従業員に対して彼らの市場価値の最大限を支払うことを目指しています。

仮に私たちの会社が財政的に困難な状態に陥ったとしても、従業員に対して過小な賃金を受け入れるよう求めることはないことに留意しておいて下さい。スポーツチームは、連敗記録を続けていても、再び成功を収めるチームに返り咲くことを望んでプレイヤーに市場価格の最高額を支払うのと同じことです。その一方で、会社が上手くいっているのであれば、広く流通している私たちの会社のストックオプションの価値が非常に高まることになります。

ドリームチームモデルは、経済的な安定は自身のスキルと高い評判に基づくもので、一つの会社での勤続年数に基づくものではないという考え方を強固なものにします。Netflix では、素晴らしい同僚と共に難しい問題に取り組むことで多くを学ぶことになります。そして、それが自身の市場価値を高めることになります。仮に Netflix から去った場合でも、他の会社がすぐにあなたを雇うであろうことを認識しておくことは励みになるはずです。私たちは従業員が他社の採用面談を受けることは健康的だと思っており、従業員がそのプロセスから学んだことについてマネージャーと話すことを奨励しています。

チームメイトが非常に優れていて、良好な関係で共に働くことができているなら、常に良い仕事ができることを知っています。私たちは、自信は内に秘め、それでいて一層向上できるように努力しています。目指している偉大さにはまだほど遠いのです。

 

自由と責任
従業員が、誰かが拾うだろうとオフィスの床に落ちているゴミの隣を素通りしていく会社があります。また、自宅ではそうするように、従業員が見つけたゴミを拾うためにかがみこむ会社があります。私たちは、後者の会社になろうと懸命に努力しています。あらゆる岐路において会社の力になるよう正しいことをするという責任感を、全従業員が有している会社です。ゴミを拾うというのは問題に対処するということの例えです。小さかろうが大きかろうが、問題を見つけたら、決して「それは私の仕事ではない」と思わないことです。私たちは、本物のゴミ又は例えとしてのゴミを拾うことについての規則は持っていません。この行動を自然と取ってしまうような、当事者意識、責任感、自発性が生み出されるよう努めています。

私たちの目的は、単に従業員を管理するというのではなく、彼らを奮起させることにあります。私たちのチームは、Netflix にとってベストだと考えることを実行すると信頼しています。それゆえ、彼らに多くの自由、権限、そして意思決定を支援するための情報を与えています。結果として、責任感、自己管理能力を生み出し、それらが会社の利益になる素晴らしい仕事へと導いてくれます。

従業員は信頼され、自由を与えられ、重要なことを任された時に成長すると信じています。そこで、私たちはできる限り自由と権限付与を促進します。

多くの組織において、業務プロセスに不健全なほど重点が置かれており、あまり自由がありません。それらの組織は最初からそうであったわけではないでしょうが、何かが上手くいかないたびに業務プロセスのニシキヘビがきつく締めあげていったのです。特に、多くの組織は小規模なときは自由と責任を持っています。全員がお互いを知っており、全員がゴミを拾うのです。しかしながら、大きくなるにつれて、ビジネスはより複雑になり、しばしば能力と情熱の平均的な水準が下がっていきます。堅苦しくない円滑に運営されていた組織が崩壊し始めるにつれて、一部に混沌が出現し、抗議の声は「成長しろ」であり、混沌を緩和するために伝統的なマネジメントと業務プロセスを取り入れることになります。規則と手続きが大幅に増加するにつれて、価値体系が規則に従うことに変化します(言い換えると、報いを受ける方法が規則に従うことに変化します)。仮に、この標準的なマネジメントアプローチが上手くいくならば、会社はそのビジネスモデルで非常に効率的になります。このシステムでは、黙ることに抵抗がなくなります。そして、独創的に物事を考える人は、現状に疑問を持つことを止めるように言われます。この種の組織は、非常に専門特化されており、そのビジネスモデルにはよく適合しています。しかしながら、最終的には、10年から100年の間にそのビジネスモデルは必ず変化しなければならず、そのような会社のほとんどは適応することができません。

自由は保持しつつ、過度に専門特化されたことによる柔軟性の無さと成長に伴う混沌を回避するために、私たちは成長への野心を損なわない範囲でビジネスを単純に保つことに取り組み、また、継続的に従業員の卓越性を向上させていくことにも取り組みます。自己管理能力を有し、命令されなくても問題を発見し修正することのできる従業員から構成される会社になることを目指しています。

従業員の自由を絶えず増やしていくことに、私たちは献身します。私たちが普通でない量の自由を持って業務を行っていることについて、いくつかの例を以下に挙げます。

  • 私たちは、内部的・広範囲・体系的に文書を共有しています。ほとんど全ての文書が、誰でも目を通しコメントすることができるよう完全に公開されています。そして全てが相互リンクされています。それぞれのタイトルの実績、戦略に関する意思決定、競合他社、製品の機能テストに関する全てのメモは全従業員が読むことができるよう公開されています。この大規模なアクセスにもかかわらず、自己管理と責任の精神のおかげで、リークはほとんどありません。
  • 費用に関する統制、又は契約書にサインするような統制は実質的に存在しません。それぞれの従業員が必要に応じてアドバイスと視点を探すことを期待されています。「適切な判断のもと、使う」というのが我々の根本的訓示です。
  • 旅費、接待費、贈答品費に関する私たちの方針は5単語で言い表されます。「Netflix にとって最も得策であるように行動する」です。私たちはまた、ほとんどの会社が方針を策定して施行しなければならないコンプライアンス部署を有していません。
  • 私たちの休暇に関する方針は「休暇を取る」のみです。一年につき何週間といったような、いかなるルール又はひな型も、私たちは持っていません。正直に言うと、私たちは仕事とプライベートな時間を相当混ぜてしまっています。変則的な時間にメールをし、子供の試合のために平日の午後に休みを取ったりする等です。私たちのリーダーは、休暇を取り、良い例を示します。度々、新鮮なアイディアを持って職場に戻り、チームの他のメンバーに同じようにすることを奨励します。
  • 私たちの育児休暇に関する方針は「赤ん坊と自分自身の面倒を見る」です。新しく親になった人は、自分が正しいと感じるために十分時間を使うことを奨励されます。また、望むのであればゆっくりと仕事に復帰することを奨励されます。
  • 毎年、従業員は給与について現金で受け取る割合とストックオプションで受け取る割合を選択することができます。全額を現金で受け取ることも、全額をストックオプションで受け取ることも、又は自分に適した割合で両方を受取る事も可能です。自分でどれくらいのリスクを取るかを選択することができます。それらの行使期限10年間のストックオプションは完全に権利を与えられるので、仮に Netflix を去ったとしてもそれらを保有することができます。
  • 給与を受け取るためには辞めずに会社に留まる必要があるといった、給与支払いに関する縛り(受給権)はありません。お金を失うことなく、従業員はいつでも自由に辞めることができます。けれども圧倒的多数が留まる事を選択します。私たちは、素晴らしい仕事と報酬のために従業員が所属することを愛する状況を作り上げることをマネージャーに望んでいます。

これほどに自由だと混沌に陥ってしまうのではないかと思うかもしれません。しかし、私たちは服装に関する方針も持っていません。それでも、誰も裸で仕事に来たりはしません。これから学べるのは、全ての物事に対して方針は必要ないということです。ほとんどの人は、職場で服を着ていることの利益を理解しているのです。

私たちの反規則・自由支持哲学にも重要な例外が少しだけあります。倫理的問題と安全性の問題については厳格です。例えば、従業員のハラスメント、又はインサイダー情報を用いてのトレーディングはいかなる違反も許されない問題です。私たちのメンバーの支払情報を安全に保護するといった、いくつかの情報セキュリティー問題はアクセスに関して厳格に統制されています。会社の銀行口座から巨額の現金を送金するのも厳格に統制されています。しかし、それらは極端な場合です。

一般的に、間違いを防ごうと努力するよりも自由で迅速に復旧できるほうが望ましいです。私たちは創造的なビジネスに取り組んでいて、安全を最重要視すべきビジネスに取り組んでいるわけではありません。我々にとっての大きな脅威は、時の経過とともにイノベーションが欠如することです。よって、私たちは比較的間違いに寛容であるべきなのです。従業員が素晴らしい判断を行えれば、迅速に復旧することは可能です。たとえ、大抵効果的ではないとしても、間違い防止は単純にとても聞こえがいいので魅力的です。多すぎる間違い防止手続きが独創的・創造的な仕事の妨げになっていないかどうか、私たちは常に用心しています。

まれに、自由であることが濫用されることがあります。逮捕されるまでの数年間にわたって契約にリベートを盛り込んだ幹部従業員が一人いました。しかし、それは例外であり、過度に是正することは避けなければなりません。ほんの少しの人が自由を濫用したというだけで、私たちの従業員は大きな信頼をおくに値しないということにはならないからです。

いくつかの業務プロセスは間違いを回避するためというよりむしろ、増加した生産性を原因として存在します。私たちは、より多くを成し遂げるための業務プロセスを好みます。そのような業務プロセスの一つに、効果的な計画された会議があります。私たちは定期的に様々な種類の会議を開きます。時間通りに開始・終了し、よく準備された議題について議論します。この会議は、間違いを防止したり決定を承認する目的で行うのではなく、お互いから学び、より多くを成し遂げることができるようになるために行われます。

情報に通じたキャプテン
全ての重要な決定ごとに、他人の意見を整理し、判断を下す責任を負うキャプテンがいます。私たちは意思決定を行うための委員会は設けていません。なぜなら、動きが遅くなり責任と説明義務の所在がぼやけてしまうからです。私たちは「反対意見の農園」です。反対意見を言う事は普通ではない又は簡単ではありません。そこで、私たちはそれを推奨するために一致協力の努力を行っています。グループは、ある題材について何度も集まって議論することになります。しかし、その後誰かが意思決定をする必要があり、「キャプテン」になります。小さな決定であれば単にeメールで共有するだけかもしれませんし、大きな決定になると様々なポジションからの考察とキャプテンがそのような決定を下した理由を記載したメモを残すのが適当になります。意思決定の規模が大きくなればなるほど、より広範囲にわたる反対意見/同意を集めるべきであり、通常それは公開される共有文書で行われます。しかしながら、意思決定は多数派もしくは委員会の投票によってなされるわけではありません。私たちは総意が集まるのを待つことはありませんが、十分な情報が与えられていない意思決定に急ぐこともしません。個々の意思決定に携わるキャプテンが私たちにとって正しい方策だと合理的に確信しているのであれば、キャプテンは意思決定をし、私たちはそれを受け入れます。

統制ではなく前後関係
私たちは、従業員各々が素晴らしい独立した意思決定者であること、そして、正しい決定かどうか確信が持てない時にのみマネージャーに助言を求めることを望んでいます。あらゆるレベルにおけるリーダーの仕事は、優れた決定をするのに必要な正しい情報を部下が有しているようにするために、明確な前後関係を設定することです。

私たちは、CEOや他の最高幹部達が細部に深入りしたことによって製品又はサービスが驚くべきものになったという伝説には賛成しません。スティーブ・ジョブズの伝説は、彼のマイクロマネジメントがiPhoneを素晴らしい製品にしたというものです。他の人たちは新しい思い切った手段であると理解し、誇りを持って自分自身をナノマネージャーと呼びました。主要なネットワークとスタジオのトップは時々、コンテンツの創作過程において多くの意思決定を行います。私たちは、これらのトップダウンモデルを見習うことはしません。なぜなら、会社中の従業員が意思決定をした時に私たちは最も効果的かつ創造力に富むはずだと信じているからです。

私たちは、会社のあらゆる場面で良質な意思決定の筋肉を発達させるよう努力しています。私たちは、経営陣が行う意思決定が多いことではなく、少ないことに誇りを持っています。とはいえ、傍観主義的な管理を行いたいわけではありません。それぞれのリーダーの役割は、教えること、前後関係を設定すること、そして起こっていることに対して深い情報を有していることです。前後関係の設定がどのような改善を必要としているかを見つけ出す唯一の方法は、詳細全ての実例を詳しく調査することです。しかし、マイクロマネージャーの場合とは異なり、それらの詳細を知る目的は小さな意思決定を変えることではなく、より多くの意思決定が適切に行われるようにするには前後関係をどのように調整すればいいかを知ることにあります。

「統制ではなく前後関係」にはいくつかの小さな例外があります。適切な前後関係や指針について考える時間がない緊急事態の時、新規のチームメンバーが確信を持つのに十分な前後関係を未だ理解していない時、不適任な人物が意思決定する役割を任されてしまっている(一時的な場合、疑いない場合)ことが認識された時などが一例です。

私たちは従業員に、上司を喜ばせようとする代わりに、ビジネスに尽力するよう伝えています。マネージャーに異論があることは問題ありません。何かを隠すことは決して許されません。マネージャーに「あなたが不賛成であることは知っています。ですが、より良い解決策であると考えているのでXを実行しようとしています。私の決定を明確に覆そうと思っているのであれば教えていただけませんか。」と言うことは問題ありません。私たちは従業員に対して、マネージャーがするであろうこと、又はして欲しいであろうことを推測し、その通りに業務を遂行することがないよう望んでいます。

高度に整列し、緩く結合する
会社が成長すると、しばしば高度に中央集権化され柔軟性がなくなります。そして、以下のような兆候が表れます。

経営陣が多くの小さな意思決定に深入りしている
戦略を全社的なものにするための複数部門にまたがる承認会議が非常に多く開かれる
内部的なグループの要望を満たすことが、顧客満足よりも優先している
組織は高度に調整され間違いが少なくなる傾向にあるが、動きが鈍くフラストレーションのたまるものとなる
高度に整列し、緩く結合することによって、私たちはこれらを回避しています。私たちは、戦略についての議論に多くの時間を費やします。そしてその後は、お互いを信頼し、事前承認なしに方策の遂行をすることになります。たびたび、同じ目的を持って働いている2つのグループがお互いの活動について知らない、又は活動について同意していないということがあります。仮に、後にその活動が正しくないようであれば、私たちは率直な議論を行います。その戦略が曖昧過ぎるか、又は合意された戦略に照らして方策が整列していなかったことが見つかるかもしれません。そして、通常、どうすれば今後よりよく行動できるかについて議論することになります。

「高度に整列し、緩く結合する」労働環境が成功するかどうかは、高い能力を持つ個人同士が協力する努力と効果的な前後関係にかかっています。究極的には、柔軟性と敏捷性を拡大させつつ、より大きな影響力を持つためにビジネスを成長させることが最終目的です。私たちは、大きく、速く、素早くなろうとしています。

卓越性を探し求める
新規雇用者は最初の数か月以内に、経験した実際の文化に照らして、この Netflix の文化を説明した文書が如何に正確か驚かされたとしばしばコメントします。世界中で、私たちは私たちの文化を実践し築き上げているのです。実のところ、この文書には何百もの世界中の従業員が携わっています。

私たちは、私たちの文化を維持しようとしているのではありません-私たちはそれを向上させようとしているのです。Netflix に関わる全員が、文化を形作り一層発展させる力となっています。私たちは共に、より多くを成し遂げるための新たな道を見つけることになるでしょう。以前と比べて業務をより効率的に行えるようになっているという紛れもない違いを、数年ごとに感じることができます。私たちはかつてないほど急速に学習しています。なぜなら、より多くの多様な視点を持つ献身的な従業員を抱えているからです。彼らは、才能豊かなチームがより団結し、素早くかつ効果的に共に働くためのより良い方法を見つけようと努力しているのです。

最後に
星の王子さまの作者である、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリが私たちに道を示してくれています。

船を造りたければ、人々に木を集めさせ、仕事を割り振り、命令するのではいけません。
その代わりに、広大で無限の海にあこがれるように仕込むのです。

 

【翻訳】「シリコンバレーから生まれた最高の文書」と絶賛されたNetflixのカルチャーガイド全文

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